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朱音は悲鳴と言うか叫び声に近い声を上げ、その場から跳ね起きると、一目散に来た道を走り出す。が、それを見過ごすしてくるわけもなく、追いかけてくるトロル。それも意外に早い。そして顔は予想通り怖い。
(何で私があんな厳つい顔した輩に追いかけられなきゃなんないんですか!? 何アレ!? セ○ム? 新手のセコ○!?)
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「これまた、意味も無く金が掛かってるな」
感動よりも、どこか呆れ気味の朱音は、訝しげに顔をしかめながらそう呟いた。そんな朱音の呟きが耳に入ったのか、雅美は反射的に顔を上げる。
その瞬間、先程までの機嫌の悪い顔から一転して、ある童話に出てくるグレーテルがお菓子の家を見つけたときのような、目をキラキラと宝石のように輝かせた子供のような顔をする。
「大体、あっ君が何にも言わずにどこかに行くのが悪いんだからね。ペットはペットらしく、ご主人様に付き従えばいいのよ」
「私は、お前のペットじゃない……」
あの後朱音は、雅美を独りぼっちにした罪?やらで、朝食を奢らされたあげく、登校途中の今は、鞄を持たされている始末である。
七時三十八分 ―――食堂――――
「ねぇ、あんな子いたっけ?」
ランチタイムが間じかに迫り、食堂に集まった生徒たちからは黄色い声が囁かれ、激しさはないものの、静かな熱気で満ち満ちている。
小さなシャンデリアがいくつも飾られている下で、美しく装飾されているテーブルに、優雅にそれでいて落ち着きある姿勢で座っている少女たちの顔は、気品と誇りと言う言葉が恐ろしいほど似合っていた。