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 乗務員さんのもとへ行き、乗用手続きを済ませて荷物を預けると、そのまま飛行船に向かう。もちろん、防犯のため刀が入っている竹刀袋も預ける結果になった。
 飛行船出発時刻までの間、ターミナルで待つ事も出来たが、私は機内でゆっくり休む事を選んだ。ターミナル内には人が混雑しており、私的には迷う可能性が非常に高いと確信したため、早めに機内に行っていた方が得策だと思ったからだ。
 飛行船に辿り着くまでの道のりを、何度か乗務員や道行く人に尋ねつつ、何とか目的の飛行船にたどり着く。我ながら相当なまでの方向音痴だと言うことに、今更ながら気づかされる。
 そんな事に、軽いショックを受けている私の目の前には、筆記体でアスガルドと書かれている飛行船が一機。乗用人数は、二百は軽く入ってしまいそうである。

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      ――四日後の朝――


 鳥が囀る、晴れ晴れとした朝。
少し肌寒いが、それが逆に、弛んだ気持ちを絞めてくれるような、そんな朝。
 そんな朝に、少年のような少女が一人、布団から上半身だけを起こして、奇声を発していた。

「ぬうぅぅうううう……」

(来てしまった……
ついにこの日が来てしまった……)

 眉間に皺を寄せながら、少年のような少女は苦々しく顔を歪めた。


序章 受難の始まり

 長く名誉ある、女の子ならば誰もが憧れ、空に浮かぶ孤島に存在する、由緒あるアスガルド女学院。剣技や魔法、科学技術などありとあらゆる技術を学べ、この世界に存在した、英雄と呼ぶべき者達を多く輩出してきた、まさに名門中の名門校。幼稚舎から大学まであり、寮も存在する。

男子禁制の乙女の園。

 その校舎の目の前に立ち尽くす、身長は、百六五センチ位だろうか、真っ白の軍服を模した制服と、対になる白のズボンを履いた少年?いや、ここに居ると言う事は、おそらく女の子なのだろう。その少女?は、青い顔をしながら校舎を睨んでいた。
誇りと気品に満ち溢れている、ここの生徒達の瞳とは違い、その少女の瞳は、困惑と絶望に襲われているようだった。



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1986/10/31
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