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アスガルド~Daily Life~ を読んで頂き、本当にありがとうございます。
感想、指摘等は、こちらにお願いします。
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薄暗い一室。天にある光すら届くのを嫌うその場所に、闇と同化してしまいそうな程黒々としたローブを身に纏った魔術師がその中央に佇んでいる。薄汚れた実験台のようなテーブルを前に、繰り返し行われる実験。赤茶けた染みは何層にもなって台に塗り重なり、拭ったところで取れることはなさそうだった。部屋の中に並べられる器具の数々は、この部屋の唯一の灯り手であるろうそくの光によって、ギラギラと妖しく鈍い反射を繰り返している。
照りつける太陽が陽炎を作り出し、木々に止まる蝉の声が煩いほどに木霊していた。
今日は夏真只中と言うわけで、外も室内も気付けば汗ばんでくるほど蒸し暑い。こういった日には、無理に外へ出ようとはせずに、クーラーの効いた部屋でゆっくりと過ごすのが一番なのだが、最悪な暑さは最悪な出来事まで運んでくる。部屋に必ず備え付けられている冷房機器が、寮全体で使えなくなってしまったのだ。と言うより、電気が一切使えない。そのため、扇風機すらも動かないガラクタとなっている。
「おーい、魚獲ってきたよー!!」
朱音が森へと駆けていって少し経った頃、川へと向かった三人が満足げに歩いてくる。
「中々に大漁よ」
手に下げたバケツを地面に置くアリア。透き通った水面下には、それなりの大きさの魚が数匹窮屈そうにバケツの中を泳いでいた。そのバケツを覗き込むレイリスは、少し驚いたように顔を上げる。