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「ふぁ~~~~」
小鳥が囀る、晴れ晴れとした朝。優雅に学院への道を歩く登校中の生徒の中から、一際大きな欠伸が聞こえた。アスガルド女学院でこのような下品な大欠伸をする人物は、漆黒のショートヘアーの編入生である彼女一人くらいだろう。
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薬術学に続く授業は、白兵戦術と呼ばれる魔術を使わない、体術だけを養うための授業だった。勿論、この授業は教室では行えない。そのため、学院の敷地内には、戦闘が出来るように設置されたコロッセウムを模した、ドーム状の闘技場が作られていた。
「あ~緊張すんな。魔術基礎って何やるんだろ」
昼食を取り終わり、朱音は午後の授業である薬術学に出席するべく、薬学実習室に移動中なのだが、ポツリとそんな言葉を漏らす。昨日は半日で学校が終わり、今日が初めて魔術授業を教わる日なのだ。それでなくとも、この学院の生徒になったばかりの朱音は、今まで魔術に関わる出来事や授業が全くといっていい程なかったため、大幅に他の生徒よりも魔術に関する基礎知識が足りていない事もあり、更に緊張が大きくなる。
有沢琴美、十八歳。私と呼べる存在を構成してきたこの十八年という月日の中で、これ程までに怒りを覚えたことがあっただろうか。