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ここは、アスガルドに通う学生が住まう寮が存在する島。この島には、主に三つの寮が存在する。幼稚舎から大学まであるこの学院には、一つの寮だけで生徒全員を住ませることは不可能。そのために、小等部と中等部、高等部と大学部、幼稚舎と分けられている。
「おお!!すっげぇ―――――!!」
朱音は寮を目の前にして叫ぶ。それもその筈、目の前には寮と称される、上品な造りをした屋敷が佇んでいたからだ。それに、寮などと言う言葉が似合わないほどの高貴なオーラが滲み出ている。
第一章 アスガルド
とある一室、黒塗りの大きなテーブルに向き合うように、一人の老人と少女が腰掛けていた。
「あなたも随分老けたわね」
少女は、無愛想にそう言うと、テーブルに置かれた紅茶のカップに手を伸ばした。その瞬間に、肩口から零れた銀髪が、さらりと胸元に落ちた。
乗務員さんのもとへ行き、乗用手続きを済ませて荷物を預けると、そのまま飛行船に向かう。もちろん、防犯のため刀が入っている竹刀袋も預ける結果になった。
飛行船出発時刻までの間、ターミナルで待つ事も出来たが、私は機内でゆっくり休む事を選んだ。ターミナル内には人が混雑しており、私的には迷う可能性が非常に高いと確信したため、早めに機内に行っていた方が得策だと思ったからだ。
飛行船に辿り着くまでの道のりを、何度か乗務員や道行く人に尋ねつつ、何とか目的の飛行船にたどり着く。我ながら相当なまでの方向音痴だと言うことに、今更ながら気づかされる。
そんな事に、軽いショックを受けている私の目の前には、筆記体でアスガルドと書かれている飛行船が一機。乗用人数は、二百は軽く入ってしまいそうである。
――四日後の朝――
鳥が囀る、晴れ晴れとした朝。
少し肌寒いが、それが逆に、弛んだ気持ちを絞めてくれるような、そんな朝。
そんな朝に、少年のような少女が一人、布団から上半身だけを起こして、奇声を発していた。
「ぬうぅぅうううう……」
(来てしまった……
ついにこの日が来てしまった……)
眉間に皺を寄せながら、少年のような少女は苦々しく顔を歪めた。