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遅かった、と一瞬そんな言葉が脳裏に浮かぶ。
が、横たわったまま制服がピクリと動くのが分かった。微かだが胸のところが上下している事からも、生きているのは確認出来る。
無事とは言いがたいが生きてはいる。それにこのまま、動かないでいてくれほうが幾分か助けやすい。
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「リセリア、今日は随分とご機嫌斜めですね」
登校途中の今、のほほんとそういう彼女の顔を見ながら、私はあくまで顔色を変えずに何でもないと答えた。
正直言うと、昨日学院長から頼まれた件のせいで、ずいぶんと不快な気分にさせられている。面倒ごとばかり押し付けられる此方の身にもなって欲しいと思う。
朱音は悲鳴と言うか叫び声に近い声を上げ、その場から跳ね起きると、一目散に来た道を走り出す。が、それを見過ごすしてくるわけもなく、追いかけてくるトロル。それも意外に早い。そして顔は予想通り怖い。
(何で私があんな厳つい顔した輩に追いかけられなきゃなんないんですか!? 何アレ!? セ○ム? 新手のセコ○!?)
「これまた、意味も無く金が掛かってるな」
感動よりも、どこか呆れ気味の朱音は、訝しげに顔をしかめながらそう呟いた。そんな朱音の呟きが耳に入ったのか、雅美は反射的に顔を上げる。
その瞬間、先程までの機嫌の悪い顔から一転して、ある童話に出てくるグレーテルがお菓子の家を見つけたときのような、目をキラキラと宝石のように輝かせた子供のような顔をする。