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「大体、あっ君が何にも言わずにどこかに行くのが悪いんだからね。ペットはペットらしく、ご主人様に付き従えばいいのよ」
「私は、お前のペットじゃない……」
あの後朱音は、雅美を独りぼっちにした罪?やらで、朝食を奢らされたあげく、登校途中の今は、鞄を持たされている始末である。
七時三十八分 ―――食堂――――
「ねぇ、あんな子いたっけ?」
ランチタイムが間じかに迫り、食堂に集まった生徒たちからは黄色い声が囁かれ、激しさはないものの、静かな熱気で満ち満ちている。
小さなシャンデリアがいくつも飾られている下で、美しく装飾されているテーブルに、優雅にそれでいて落ち着きある姿勢で座っている少女たちの顔は、気品と誇りと言う言葉が恐ろしいほど似合っていた。
「それじゃあ、朱音さんが噂の編入生だったんですか」
「だから、さん付けじゃなくてもいいって。私はミリアって呼び捨てにしてるんだからさ。図々しくも……」
鳥篭のベンチに二人で腰掛けながら、朱音とミリアと言う少女は話込む。
あの後、お互いの自己紹介を済ませて、二人はすっかり意気同行していた。
その日の夜、朱音は慣れない部屋のせいで中々寝付けないでいた。ピンク色のレースが入った布団に潜り、薄暗い自分の部屋を見つめる。一人部屋の割には広く手入も行き届いている。備え付けの家具であるクローゼットや本棚には、自宅から送られてきた衣服や書物などが収められていて、シンプルかつ上品な装飾が付いた家具に囲まれた部屋の作りに、朱音は落ち着かないというよりも、居心地の悪さを感じていた。
どうも朱音は、この上品で清楚な女の子の部屋の雰囲気が苦手らしい。出てきた家の自分の部屋はシンプルだったが、レースのカーテンやピンクの布団など、自分の性格から言って絶対にありえなかった。